4.日本でのDV防止対策の歩み |
4.1 歴史的変遷
1970年代半ば | 「東京都女性相談センター」が開設される |
1980年代 | セクシャル・ハラスメント運動はじまる |
1992 | 「夫からの暴力調査研究会」(DV調査研究会)による実態調査がなされる |
1993 | 国連「暴力撤廃宣言」;女性に対する3つの暴力を定義する |
1995 | 第4回世界女性会議(北京会議)、北京宣言・北京綱領採択される |
1996 | 「男女共同参画二〇〇〇年プラン」;日本の国内行動計画 |
1997 6月 | 内閣総理大臣が男女共同参画審議会に対し、基本方策について諮問 女性に対する「暴力部会」が設置される 東京都が初の公式調査である「女性に対する暴力に関する調査」結果を公表した |
1998 10月 | 「男女共同参画審議会女性に対する暴力部会の中間取りまとめ」公表 |
1999 5月 | 答申「女性に対する暴力のない社会を目指して」 |
1999 9〜10月 | 総理府「男女間における暴力に関する調査」 |
2000 2月 | 上記調査結果発表 |
2000 4月 | 「女性に対する暴力に関する方策についての中間取りまとめ」公表される |
2000 7月 | 答申「女性に対する暴力に関する基本方策について」 |
2001 4月6日 | 「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」可決 |
2001 10月13日 | 同法施行 |
2002 4月1日 | 同法第2章、第6条、第7条、第9条施行 |
2002 8月6日 | 男女共同参画推進部「平成14年度『女性に対する暴力をなくす運動』 「実施要綱」を発表した |
[ p. 102 ]
4.2 日本のDV防止法(2001年10月施行)
第四章 保護命令
(保護命令)
第十条 被害者が更なる配偶者からの暴力によりその生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、裁判所は、被害者の申し立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、次の各号に掲げる事項を命ずるものとする。ただし、第二号に掲げる事項については、申し立ての時において被害者及び当該配偶者が生活の本拠を共にする場合に限る。
一 命令の効力が生じた日から起算して六月間、被害者の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この号において同じ。)その他の場所において被害者の身辺につきまとい、又は被害者の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいすることを禁止すること。 二 命令の効力が生じた日から起算して二週間、被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること。(管轄裁判所)
第六章 罰則
第二十九条 保護命令に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。 第三十条 第十二条第一項の規定により記載すべき事項について虚偽の記載のある申し立て書により保護命令の申し立てをした者は、十万円以下の過料に処する。
5. 非暴力プログラム |
5.1 アメリカでの例
[ p. 103 ]
PART I 自分の暴力克服 1. 私は暴力を止める。 まず自分の暴力に気づき、パートナーへの行動に責任を持つことを語り合う。 2. コミュニケーションの仕方を学ぶ。(相手を批判したり、自分を偽ったりしない。) 肯定的な自己表現を役割練習(ロールプレイ)を通して学び、コミュニケーション・スキルを身につける。 3. 責任ある親密さの回復。 感謝、悲しみ、怒り、嬉しさ等の感情を具体的な場面設定の中で表現する練習をする。 PART II コミュニティーへの還元 4.ホットラインへの電話受け取り手として活動する。 5.DV加害者教室でのプログラム進行を補佐する。 6.高校や刑務所に出かけて体験を語ったり、DV関連の集まりで話したりする。 プログラムはそれぞれの段階が16週間、1回3時間という長期にわたる。
5.2 イスラエルでの例
5.3 日本での例
男のための非暴力グループワーク(週に1回、6週間のプログラム) 各回のテーマ 第1回 出会いのグループワーク−お互いを知る、自分を知る 第2回 感情を伝える(その1)−自分の感情を知る 第3回 感情を伝える(その2)−感情を言葉で表す 第4回 感情を伝える(その3)−見方を変える 第5回 行動を変える−暴力を振るわずに暮らす 第6回 新しい自分へー豊かなコミュニケーション能力を養う
[ p. 104 ]
6.外大生――将来の社会にDVを持ち込まない学習と行動 |
WEBサイト:"Sleeping with the Enemy" "What's love got to do with it" 「ドメスティック・バイオレンスにどう取り組むか」―親指のルールを打ち破って―内閣府が出しているビデオ
外大生実態調査内閣府の男女共同参画局 www.gender.go.jp/ なづな(女綱) 〜ストップDVとやま〜 www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/3062/ メンズセンター member.nifty.ne.jp/yeswhome/MensCenter/
[ p. 105 ]
今回、この授業をとって初めてドメスティック・バイオレンスを知りました。今でも覚えているのははじめての授業で先生にこのことについて説明を受けた時の驚きです。私たちの身近なこの日常でこんなとんでもないことが起こっている、という衝撃を受けました。又自分がいかに無知だったかというのを思い知らされました。この授業を受けるまで私は社会で起こっている問題がどうなのか、とかそんな大して興味も持ちませんでした。でもだんだんDVについて知っていくうちに、ドラマなどで女性が虐待を受けているのを見たりすると、じっと見入ってしまうこともありました。私は授業で学んだことを思い出し、家族や友人に度々説明したりしていました。DVだけにかかわらず、日本や世界で起きている問題にも目を向けるようになった、というのも事実です。
まだこの授業をとっていなかった一回生の頃、バスに乗っていると老夫婦が乗ってきました。そしてお婆さんの方がバスの整理券を無くしてしまったらしく、探し始めました。するとお爺さんの方も一緒に探してあげればいいのに、お爺さんはびっくりするくらいの大声でお婆さんを怒鳴りつけ、「おまえは何をしてるんゃ。いつもそうやないか。しっかりしろ。」などと、ものすごくバカにしたようにどなっていました。もちろんバスに乗っている人全員が注目していました。お婆さんはすごく恥ずかしそうにうつむいて泣きそうになっているようでした。私はこの光景を見たときはDVかな?なんて考えもしませんでした。なんて性格の悪い人だと思っただけでした。でも今考えるとDVであったように思います。
私の友達にもDVを受けていた子がいます。それはこの本やビデオに出てくる程激しいものではないけれど、その子が抑え付けられていたことはことは確かです。その子は別に男に流されるタイプの子ではなく、どちらかといえば自分をしっかりと持ち、嫌なことはいや!というタイプです。でもその彼氏が最初はすごく優しかったのに付き合い始めると手を出すタイプで、その子は「嫌なことがあっても怖くていえない。」といつも言っていました。今は無事別れてもうその人と全然つながりを持っていません。でも私は相談を受けてた時に「別れや!!」というしか出来なかったこと、何も行動を起こせなかったことを悔やんでいます。
私の周りにもDV被害者がいます。私の友人です。彼女は身体的な暴力を受けています。私達が見ても分るくらいの傷をつけています。彼女に[そんなことする人なら別れたたほうがいい。」と言うとやはり彼女は「私が悪いからなぐられる。自分が悪い。」と言い張ります。それ以上のことを言っても自分が悪いからとしか言いません。彼女も幼い頃、母親に父が暴力をふるう光景を見てきたと言っています。私はなんて言ってあげればいいかい今だに分りません。
授業を受けている途中で友達から「一緒に住んでいる人から暴力を受けている。」と言う相談をうけました。昔の私だったら同情することや、逆に彼女を傷つけるようなことを言っていたかも知れません。でも学んだばっかりの知識でも彼女は少し楽になってくれたみたいで嬉しかったです、でも本にあった通り、「いつも家を出ようと思うけど出られない。」と言っていて、授業で学んだ例を出して話しをしたら、時間はかかりましたが、この前、家を出たと聞きました。自分の事のように安心しました。
まず、DVに関しての知識が増えたことと、DVに対しての見方が変わったことがこの授業で学んだことです。DVは全く自分には関係ないと思っていましたが、将来結婚してDVにあう可能性が無いとはいえません。最初は将来が恐いなと思っていたけれど、DVについて学んでいくうちに、仕組みや対処の仕方を知り、心が大分軽くなりました。自分がDVを受けた場合、DVを受けている人への接し方、加害者の考え方、DV関係の法律や相談所など幅広く学べたことは、これから先にも家族や友人に伝えていかなくてはいけないと思います。被害者の女性には特性があるのではなく、気の弱い女性が受けやすいというわけでもないことは必ず頭に入れておかないといけません。
[ p. 106 ]
関係各位 2002年1月 ![]() ![]() ![]() ![]() 関西外国語大学 村田美子助教授担当 アメリカ社会受講者一同 |
夫婦間暴力、「心の被害救済を」 6割・内閣府、防止法で有識者調査
昨年10月施行のドメスティック・バイオレンス(DV=配偶者・パートナーによる暴力)防止法について、有識者の7割が啓発活動など政府の取り組みが「不十分」と考え、救済対象に「言葉などによる精神的暴力も含めるべきだ」との意見が6割に上ることが27日、内閣府がまとめたアンケート調査で分った。調査では、3年後をめどに予定しているDV防止法見直しの参考とするため、今年1月末から1ヶ月間、全国の各界の有識者5000人を対象に実施。回収率は58.4%だった。
アンケート結果によると、DV法の周知度は「内容を知っている」が56.2%で、「名前は聞いたことがある」が36.0%。政府の研修や広報啓発の取り組みについては「不十分である」が73.2%で、「十分である」の14.8%を大きく上回った。DV防止法のどこを見直した方が良いと思うかについて複数回答で聞いたところ、「都道府県だけでなく市町村でもDV相談の支援センターの機能を果たすようにする」が62.3%で最も多く、「精神的な暴力も対象とする」が56.3%で続いた。
(2002年4月28日 日本経済新聞より)
おわりに |
[ p. 107 ]
参考資料 |